ぼくらののレビュー

83位:ぼくらの

作者:鬼頭莫宏
出版社:小学館
発売日:2004/6/30
完結済み


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Amazonmaou

あらすじ

夏休みに自然学校に参加した少年少女15人は、海岸沿いの洞窟でココペリと名乗る謎の男に出会う。子供達は「自分の作ったゲームをしないか」とココペリに誘われる。ゲームの内容は、「子供達が無敵の巨大ロボットを操縦し、地球を襲う巨大な敵を倒して地球を守る」というもの。兄のウシロに止められたカナを除く14人は、ただのコンピュータゲームだと思い、ココペリと契約を結ぶ。その晩、黒い巨大なロボットと敵が出現する。ロボットの中のコックピットに転送された子供達15人の前には、ココペリと、コエムシと名乗る口の悪いマスコットが待っていた。これが黒いロボット・ジアースの最初の戦いであった。戦闘を重ねるにつれ、子供達はゲームの真の意味を目の当たりにすることになる。


巨大ロボットが戦く単純な漫画化と思いきや残酷な設定に悲しくなる漫画です。
始めは子供達は巨大ロボットで敵のロボットを倒す爽快な漫画に見えてましたが、ロボットを操縦した子供は勝とうが負けようが死んでしまう。これだけでも十分な設定ですが、されに敵のロボットの襲撃目的も残酷な設定の前に子供達の心理描写も鬼ですな。
最初は、バトルシーンも多かったですが、後半からは様々な葛藤の心理描写が多くなってきてドンドン引き込まれていきます。

ハッピーエンドとは言い難いかもしれませんが、読み応えは十分に傑作漫画にはいります。
たぶん、鬼頭莫宏先生は最初からラストまでガチガチに設定を固めて一気に描かれたんじゃないんだろうかとおもうぐらい、一気に読み切れます。

あと、マスコット的なコエムシも口の悪さからいい味が出てると思いきや意外な展開で泣ける

amasonから気に入ったレビューを抜粋

ロボット物・・?

この漫画は何の予備知識も持たないまま読み始めるというのがベストだと思います
子供がロボットに乗って正体不名の敵から地球を守る。
なんて聞いただけで「はいはいありがち」と言いたくなりますよね。
初めは戦いを通して子供たちが成長していくよーみたいな感じに見えますが
1巻の終盤辺りにとんでもない展開が用意されています。
「あれ?何かがおかしい」強烈な違和感とともに真の物語が始まります
やはり作者が作者なだけに普通の漫画ではありません(笑)

負の連鎖

無為に登場人物が死んでいく。
少年漫画の主人公タイプもヒロインも関係なく。

読後感は良くありませんでした。救いを求めて先を読みましたが、なかなか…。
ラストには納得できるのだろうか。

完結したので全体について書きます。個人的には評価は高いです。

通常ではあり得ない世界に人(少年少女)を配置して、その最後の生き様を書くという構成で、破滅系や救いのない話のカタルシスを楽しめない人には向きません。緻密な構成で1巻から伏線がきちんと張られ、謎解きもあり、巻を追うごとに少しずつ解き明かされていきます。

どうしても死が避けられないという理不尽な状況にこどもを置くというシチュエーションに拒否反応を抱く人は多いでしょう。「戦って死ぬ事」を必要以上に美化していると見る向きもあります。実世界では、ここまで明確に「戦って死ぬ以外に選択肢がない」と言う事は普通はありませんが…….
逆に、そういう特殊状況ゆえに、様々なドラマが展開し、非常に先が読みにくい話が続きます。序盤はこどもたちの個を中心に、中盤は親との関係など、後半は社会との関係が描かれており、良く計算されています。最終巻の引きも、うまく締められていると思います。

作者が饒舌に語る部分があります。「他者の犠牲によってたつ我々の生活・命」と、「死の準備」(いちおうメメント・モリっぽい)の2つです。これは押しつけがましい、と感じる人がいるかもしれませんが、死を扱う以上、こういう考えを作中で紹介するのは悪くないと感じました。

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