RAINBOWー二舎六房の七人のレビュー

100位:RAINBOWー二舎六房の七人

作者:安部 譲二 (著) 柿崎 正澄 (イラスト)
出版社:小学館 ヤングサンデー
発売日:2003/4/5
完結済み


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あらすじ

まだ敗戦の傷跡が残っていた昭和30年の日本。

大人が起こした戦争のあおりを喰って心に傷を負い、社会のクズと蔑まれるようになってしまった少年たち。

水上真理雄(通称マリオ)たち6人の少年は、それぞれの理由で犯罪に手を染めて、湘南特別少年院の二舎六房に送られることになった。

彼らは、喧嘩・リンチが繰り返される毎日の中、同房にいた年上の桜木六郎太に出会う。

六郎太は、父親と5人の兄を亡くしながらも自分を育ててくれた母親に恩返しをするため、ボクシングの世界チャンピオンになる夢を持っていた。

6人に六郎太は、現実に負け目標も夢もなくした6人に「愛と勇気」を持って強く生きることを教える。

それまで馴染みのなかった年長者の優しさに触れ、マリオたちは六郎太を「アンチャン」と慕うようになっていく。

六郎太と6人には、いつしか友情と絆が芽生え、「再来年の夏、外(シャバ)に出る」ことを唯一の、そして大いなる夢として心に抱き、過酷な日々を乗り越えていく……。


刑務所で出会った7人の男の熱い友情を描いた傑作漫画ですな。
ストーリーは、基本的に絶望的な生活のなかをそれぞれがもがき苦しみながら這いあがっていく感じで、ちょっと幸せになっても次々と不幸が襲ってきるダークな展開です。
それでも、お互いを命をかけて助け合う姿は感動もの。
やっぱ、死線を共にしてきた友情はかけがえないものを見せつけてくれます。

あと、時代背景が戦後の復興期で、現実にありそうな物語でもあり、リアリティを感じさせてくれます。実際はもっとスケールは小さかったんでしょうが、戦後の復興期の厳しさを感じさせる背景も手伝って次々と起こる絶望に感情移入してしまいますよ。

最終的にはそれぞれの夢を自分の力で達成していく力強い展開になっていき、生きるってすごいんだなとしらしめられます。
リアリティのある友情ストーリーが好きな方は必読の一冊。

amasonから気に入ったレビューを抜粋

争いがある世の永遠のテーマ。

はだしのゲンを思い出しました。断っておきますが、決して悪い意味ではありません。
いつの時代、場所でも力による戦争等の権力闘争のツケは必ず一番弱い者達が負う羽目になります。。

マンガ的にはこういうテーマは最近珍しいと思うのですが、しっかりと現代のマンガとして成り立っていると思います。絵が少し苦手かなとも思いましたがその辺は好みかもしれません。最初は、暑苦しいマンガかな?とも思いましたが気が付くと敗戦後の日本の中にいました(笑)

実際に子供達にあえて暴力体験をさせる事はあってはならないことですが、痛みが分からなければいつかはそれを行う立場になってしまう可能性がある。

そういった一線を超える前にこうゆう作品をたくさん読めれば、実際に体験しなくとも1/100でも人の事を考えられる人間になると思います。(これを読んで、石原や佐々木になりたい等と考える子供は手遅れかもしれませんが、、、)

よく、所詮はマンガや小説の中だけだといいますが、それらを書くのも、読むのも同じ人間です。言葉だけの思いやりを説くより100倍効果があるはず!

一言で言って、面白い!!! のです。

安部譲二原作のこの「RAINBOW 二舎六房の七人」をまず3巻読んだ。

吸い込まれるように16巻まで入手し、文字通り寝食を忘れて一気に読んだ。

一言でいって「面白い!」。

画の担当の柿崎正純は20代、安部譲二は今年古希(70)になる。

編集者に言わせると「ギネスブック並の年齢の差」のコンビが渾身の力で書き続ける。

安部の要請もあって昭和30年代、40年代の勉強をした柿崎は、安部が「いまやその時代のオーソリティ」と絶賛するようになった。

それだけ「アツイ」この物語が、柿崎の画で一段と魅力のあるものになっている。

柿崎の画は1巻からうまいのだが、11巻あたりから更に上手くなっている。

「昭和30年—-ぼくらは今のアフガンの子と同じように貧しかった」と安部が言う時代に

強い絆をもって生きる主人公達は、柿崎の心を打ち、

柿崎から安部に回されてくる原稿は、ときに涙でボコボコになってたりするらしい。

安部の迫力と愛情に満ちた原作とこの柿崎の画のコンビネーションは強烈だ。

これは年齢に関係なく読まれるだろう。平成17年の小学館漫画賞に輝いたのもうなずける。

物語が終わるまで、読み続けたいと思わせる魅力がある。

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