サンクチュアリのレビュー

52位:サンクチュアリ

作者:池上遼一 (著), 史村翔 (著)
出版社:ビッグコミックス
発売日:1990/10
完結済み


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Amazonmaou

あらすじ

カンボジアでの戦乱から、日本へ帰国した北条彰と浅見千秋の二人が、日本の腐敗した政治体制を、表と裏の世界から変革する。二人が表と裏の役割を決めたのはジャンケンだった。


カンボジアの孤児から這い上がってきた二人による日本の変革を求めた熱い男の漫画。

カンボジアで孤児としてカンボジアで出会った北条彰と浅見千秋は、日本に来てから若者の軟弱さと日本の腐敗体制を変革するために表と裏の世界でのし上がり、日本の政治を変えようとする物語。

高校で別れた二人は、北条彰は裏の世界のやくざとなり、浅見千秋は学業優秀で政治秘書から政治家へとエリートの道へ。
二人それぞれが、その道でトップを取りに行く様は熱いものがあります。
北条彰のビジョンは日本のやくざだけにとどまらず、日本のやくざ華僑に似た仕組みで和鏡として世界へとビジネスを広げようとするあたりに既存の発想を超えているところが垣間見えます。
また、セリフがカッコいいんですよ。
「なんでやくざになったかって? 普通の人間が30年かかるところを1日でできるからさ。」
しびれますねー。

で、それぞれの道である程度まで権力を手にするところまで来たはずなのに、お互いの絆はけっして崩れることなく、二人の目指すべきことへ着々と進めて行く様は、目標をもって生きることの熱さを感じさせてくれます。

amasonから気に入ったレビューを抜粋

かっこええわぁ・・・

生きるか死ぬか…のカンボジアでの強制労働所を脱走して帰国した2人の日本人少年。彼らが祖国で見たのは死んだ目をした日本人の姿だった…。生きるとは戦うということだ。寝てれば明日が来る、そんな欺瞞に糊塗された日常は死んでるのも同じ。今日を戦い抜いてこそ明日を手に入れられる、そんな生活が想像できるか。…高校生の時分にこの作品に出会い、こう語りかけられた自分は今なにをやっているのだろう…。そう考えざるを得ない、私の人生の指針となった12巻。…よし、がんばろう…。

男の生き様と熱い友情

かつて少年時代を過酷な環境ですごした青年2人。一人は政治家の道に進み、もう一人は極道の道に進んだ。2人の共通の目標は「日本を変えること」。

「日本を変える」=「国のために命を捧げる」という事である。この言葉の意味を理解するためには、今の平和ボケした日本から飛出し第3世界を見る必要があるかもしれない。確かに日本は平和である。欲しいものは何でも手に入る。だが、それは物質的豊かさであって、精神的満足とは違う。

日本人ひとり一人が、この国家の中で生きがいを持って、日々喜び生きることが、現代の中でどれほど困難であろうか?

学習塾に通う子供、満員電車でスポーツ新聞を読むサラリーマン、スーパーの前でくだらない話をしている主婦どもを見てみるが良い。

この漫画では、そんな日本を変えようとする気概ある若者たちが描かれている。政治の世界も極道の世界も、やはり日本の社会を反映させていて、会社、学校、学習塾、主婦の井戸端会議と一緒なのだ。

そこには既得権益を守ろうとする者と、それを打崩そうと戦う者の熾烈な争いがある。多くは既得権益を守ろうとする者に取り囲われてしまうのだが。

また、男の真の友情についても考えさせられた。ただ単に遊ぶ友達、相談事をする友達は沢山いるが、同じ夢を一緒に目指そうとする友達、その友達のためなら自己を捧げることができるような友達こそが真の親友だと思う。

大人になってそのような友人を見つけるのは難しいかもしれない。孤独に夢に向かうのも良いが、この作品には強い憧れを抱いた。

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