ヴィンランドサガのレビュー

41位: ヴィンランドサガ

作者:幸村 誠
出版社:アフタヌーン
発売日: 2006/8/23
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あらすじ

11世紀初めの西ヨーロッパ、フランク王国領。この時代、ヨーロッパの海という海、川という川に出没し、恐るべき速度で襲撃と略奪を繰り返す北の蛮族ヴァイキングは、人々の恐怖の的だった。その日も、とあるヴァイキングの集団がフランク領主同士の小競り合いに乗じて包囲されていた都市を瞬く間に落とし、蓄えられていた財貨を残らず奪い去っていった。この略奪はアシェラッドという男が指揮する兵団の仕業で、その中に2本の短剣を武器にする凄腕の少年がいた。その名はトルフィン。今回の襲撃で敵指揮官の首を取る戦功を挙げた彼は、見返りとしてアシェラッドに彼との決闘を求める。


時代背景はヨーロッパのヴァイキング時代。
主人公のトルフィンの父親の復讐と争いの連鎖、無益さを描いたヒューマンドラマな漫画。
ストーリー前半では、ヴァイキングの戦争と決闘のバトル展開で、後半は父親の仇を失ったトルフィンの無気力と父親がなしえなかった夢への旅立ちが描かれています。

最近は、バトル展開が少なくて物足りなくなってきましたが、復讐に燃えていた時のトルフィンの無鉄砲なバトルは大好きですね。
力で負けていても小回りで相手を倒す姿はカッコいい。でも、アシュラッドとの相性の悪さはカッコ悪い。
時代背景はヴァイキングなんだが、あんまり多対多の戦争は細かい部分まで描かれてなくて、戦争がメインの話ではありませんね。
いかに、トルフィンが人として成長していくかを描いた物語です。
それと、最初は争いごとに臆病だった王子が、少しのきっかけで王としての威厳と争いの連鎖に飲み込まれていく姿も見逃せません。

amasonから気に入ったレビューを抜粋

崇高なるたったひとつの望みを携えた戦士の叙事詩

海賊モノという事でワンピースの名が出てきてしまうみたいだが、全く別物と考えていただきたい。ワンピースは冒険譚だがこのVINLAND SAGAは叙事詩である。マークトウェインとジャックロンドンでは目指すものが違う。この物語は父を殺した相手に付き従い“北方の蛮族”バイキングとなった狼のような瞳を持つ少年の成長と復讐の記録なのだと思う。たったひとつの目的の為に己を磨き、守るものは己の身ひとつであるが故に強くあり続ける事ができるという潔い生き様に感服する。
1巻では屈強な戦士としての猛者ぶりを見せる彼の現在と、父や家族との思い出をたどる過去の記憶が描かれている。当時の食文化や奴隷と領主のあり方などよく調べられていてためになる。歴史書のような重みを感じつつそのあたりも楽しんで頂きたい。
作者はどうも遅筆らしく、読み手としてはどうにもおあづけを食らってしまう時も多いのだが、遅筆は世に天才と言われた人に多い傾向。鳥山明も江口寿もそうだった。作品を量産しなければならないシステムの日本にあって叩かれても仕方がないのだろうが、悪口何するものぞ。彼の作品は芸術である。目をつむっていただきたい。

退屈せずにどんどん読み進められる良作。強くオススメ

11世紀のヨーロッパを舞台に、
戦士の息子トルフィンを軸として進んでいくヴァイキングたちの話。

登場人物の描き方が非常にうまく、
敵味方ともに感情移入しやすく、魅力的なキャラクターばかり。
また話の組み立ても見事で、回想シーンや時間経過をうまく利用して
前後のつながりを説明しており、読むほどに深みが増す。

主人公はトルフィンだが、エピソードごとに中心人物となる者が変化し、
常にそのキャラクターを応援したくなる持っていき方がうまい。
テンポもよく、短い間にキャラクターの成長や状況の変化を感じられ、
退屈せずにどんどん読み進められる良作。強くオススメ。

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