37位:シグルイ
あらすじ
寛永6年9月24日、駿府城内で御前試合が行われることとなった。御前試合は、慣例として木剣を使用することになっているが、周囲が諌めたにもかかわらず、駿河大納言・徳川忠長の命により、今回は真剣を用いることが決定され、剣士達による凄惨な殺し合いが幕を開ける。その第一試合、隻腕の剣士・藤木源之助の前に現れた相手は、盲目・跛足の剣士、伊良子清玄だった。まともな試合ができるかどうか危ぶむ周囲の心配をよそに、伊良子は奇妙な構えを取る。刀を杖のように地面に突き刺して足の指で挟み、体を横に大きくのけ反らせるように捻るという構えに群衆が唖然とする中、対する藤木はまったく動じることなく刀を抜き放ち大きく構える。両剣士には浅からぬ因縁があった。
武士の他流試合を描いた漫画。
ただし、一試合だけしか描かれておらず、他の試合は原作で読むことになります。
でも、その一試合のために描かれてある両者の因縁を深く深く掘り下げて描かれてあり、試合の緊張感が死ぬほど伝わってくる名作です。
武士の刀に対する異常なまでの迫力は、今の日本人では考えられない精神性をえがききっているんじゃなかろうか?
剣技のほどは、正統とはかけ離れたものになっていることと、かなりのグロ描写がありますので嫌いな方は遠慮するほうがいいかと思います。
amasonから気に入ったレビューを抜粋
読み手を選ぶが、大傑作
巻頭カラー見開きを一目みて、受け入れられるか否か決まるでしょう。残酷描写が多い作品です。その残酷な絵(飛び出る臓物等)、伊良子や藤木の半裸姿(そして女性キャラクターに)に自分は強烈なエロスを感じます。これが、本作品がただの残酷時代劇マンガではない事の一因になっていると思います。他にも、戦闘シーンを魅せる力、抑圧された嫉妬・憎悪の精神描写も秀逸です。本当にお薦め、少なくとも現行では最高水準のマンガです。
武士道は“死狂い”なり。
武士道のカッコよさは“残酷さ”がつきまとう。
それを明確にした作品。
“武士道”を“美学”に置き換えてもいいかもしれない。
澁澤龍彦が愛した世界だ。
昨今、うわべだけの切った張ったのストーリーが多すぎる。
安易な特訓で必殺技を手に入れ、根拠もなく光って圧倒して勝ってしまう。
勝負に敗れた場合でも、なんの後遺症もなく五体満足に復活できる。時には失った命さえ、お湯をかけたカップラーメンのようにすぐに復活する。
「そんなんじゃないだろう?」と山口貴由は問い掛けてきた。
切られれば後は残る、失えばもう元には戻らない。
あたりまえのことだ。
そして、そこに本物の美学はあった。
我々の眼鏡がくもっていただけ。
生ぬるい偽活劇どもにマグナムパンチ!!